相続登記の義務化と相続のあれこれ
2024年4月1日から、法律の改正により「相続登記」が義務化されました。
ここでは、相続登記の義務化とそれに伴う相続手続きの変化について紹介します。
相続登記の義務化に伴い相続に関する相談は増加傾向に
相続登記とは、土地や建物の所有者が亡くなった際に、その相続人が土地や建物の名義を引き継ぐ手続きのことです。
今回の義務化により、相続によって不動産を取得した相続人は、所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなりました(※1)。
正当な理由なくこの義務に違反した場合、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となってしまうのです。
相続登記の義務化は、法律改正の前後に広くニュースや新聞で取り上げられました。
多くの方がこれらをご覧になったと思います。
当事務所(司法書士事務所)にも、「相続登記が義務化されたと聞いたから…」との理由で、多くの方が相談にいらっしゃっています。しかし、増えているのは「相続登記(土地や建物の相続に関する手続き)」に関する相談だけではありません。
「相続」に関するご依頼が増加傾向にあります。
亡くなる方(相続件数)が増えていることも一因です。2000年の死亡数は約96万人であるのに対して、2023年の死亡数は約157万人でした。この死亡数は、2039年まで増え続ける見込みです。
加えて、次のようなことも、私たちへの相談やご依頼が増えている要因だと考えています。
相続手続きを家族・親族で対応できないケース
家族や親族の関係性の変化により、争いはなくても、相続手続きを家族・親族で対応できないケースが増加しています。
(例)お子様のいない方が亡くなり、兄弟姉妹(場合によっては甥や姪)が相続人になる。
(例)長男がほとんどを相続するという考え方から、均等に相続するという考え方への変化。
相続人の環境や都合から相続手続きを依頼するケース
相続人の体力や時間の問題から、相続手続きを「誰かに頼みたい」ケースが増加しています。
(例)相続人自身が高齢で、法務局や金融機関をまわるのが困難。
(例)相続人が遠方に住んでいる、仕事を休めないなどの事情で平日時間がとれない。
そんなわけで、当事務所(貝原事務所)では、相続登記のみならず、様々な相続手続きをお手伝いする場面が増えました。
そうして思うのは、実は相続への備えは、とても大切だということです。
準備というと、「遺言」「相続税対策」「生前贈与」などを思い浮かべるかもしれませんが、それだけではありません。相続財産の一覧表を作ったり、預貯金・上場株式・投資信託を整理することも「相続対策」といえます。
皆さんそれぞれの対策をすることで、相続人の負担を減らし、相続トラブル(争いだけでなく)を回避することもできるのです。
ぜひ一度、ご自身の相続あるいはご親族の相続について考えてみてはどうでしょうか。
司法書士 築地 徹弥(司法書士法人 貝原事務所)
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